たで (蓼) 

 タデ科 Polygonaceae(蓼 liăo 科)には、全世界に約45-50属 約1100-1200種がある。

  オンタデ属 Aconogonon(神血寧屬)

  ニトベカズラ属 Antigonon(珊瑚藤屬)
中米に3-6種 

  ミチヤナギノキ属 Atraphaxis(木蓼屬)
         
北アフリカ・歐洲南東部・南西アジア~シベリア・モンゴル・中国北部に約25-40種 
    A. bracteata(沙木蓼)
陝甘・内蒙古・寧夏・青海産 
    ヒロハタデノキ A. frutescens(木蓼)
南ロシア・中央アジア・シベリア・モンゴル・中国西北産 
    タデノキ A. manshurica(東北木蓼)
遼寧・内蒙古・河北・陝西・寧夏産 
    A. spinosa(刺木蓼)
カフカス・西&中央アジア・シベリア・モンゴル産 

  イブキトラノオ属 Bistorta(拳參屬)

  Calligonum(沙拐棗屬)
地中海東部~モンゴルに約35-40(-100)種

  ハマベブドウ属 Coccoloba(海葡萄屬)

  Eriogonum(苞蓼屬) 中&北米に約250種

  ソバ属 Fagopyrum(蕎麥屬)
東アフリカ・ヒマラヤ・四川・貴州・雲南に約15-17種 

  ソバカズラ属 Fallopia(何首烏屬)
世界に約20-35種

  スナジタデ属 Knorringia(西伯利亞蓼屬)
シベリア・北東アジア・チベットに1種 
    スナジタデ K. sibirica(Polygonum sibiricum;西伯利亞蓼)
極東ロシア・シベリア・
         
華北・東北・陝甘・山東・安徽・江蘇・湖北・西南・ヒマラヤ・中央アジア産 

  チシマミチヤナギ属 Koenigia(冰島蓼屬)
北半球の温帯・亜寒帯に約35-60種 
    K. cathayana(華神血寧)
中国西南・青海・チベット産 
    K. delicatula(Polygonum delicatulum;小葉蓼)
四川・雲南・ミャンマー・ヒマラヤ産 
    チシマミチヤナギ K. islandica(冰島蓼)
山西・西北・西南から世界の亜寒帯に産 
    アラガソウ K. nepalensis(Polygonum filicaule;細莖蓼)
臺灣・西南・ヒマラヤ産 
    K. polystachya(Polygonum polystachyum;多穗蓼)
『全国中草葯匯編』上/897

  Muehlenbeckia(竹節蓼屬) 

  ジンヨウスイバ属 Oxyria(山蓼屬)
2-3種 
    ジンヨウスイバ O. digyna(山蓼) 北海道・本州中部及び北半球の寒帯産
    O. sinensis(中華山蓼・紅馬蹄7烏)
四川・雲南・チベット産 『全国中草葯匯編』下/267-268 

  イヌタデ属 Persicaria(蓼屬)
約120-200種 
      incl. Antenoron, Truellum

  ミチヤナギ属 Polygonum(萹蓄屬)
約60-70種or230種 

  Pteroxygonum(翼蓼屬)
中国に1-2種 
    P. giraldii(翼蓼)
華北・陝甘・湖北・四川産 『全國中草藥匯編 上』pp.296,390,459

  ダイオウ属 Rheum(大黃屬)
ユーラシアに約30種 

  ギシギシ属 Rumex(酸模屬)
約150-200種 
      incl. Actosa, Emex,

  タデノキ属 Triplaris(蓼樹屬)
中南米に約18種 
   
 和名タデの語源については、ヤナギタデの訓を見よ。
 『本草和名』蓼實に、「和名多天」と。  
 漢名蓼は、李時珍『本草綱目』に「蓼類は皆な高く揚る。故に字は翏に従う。音は料、高く飛ぶ貌なり」と。
 
 中国では、古くから蓼の仲間を調味料・蔬菜として食用にしてきた。
 古名のうち、水蓼はヤナギタデだが、そのほか澤蓼(虞蓼・薔)・紫蓼・香蓼・靑蓼などは、現代名を特定できない、ともいう。
 また、タデの多くを薬用にすること、次のようである。
  拳參 :イブキトラノオ・P.lapidosum・P.manshuriense の根茎。
  草河車:P.viviparum・P.attenuatum・P.ochotense・P.alopecuroides の根茎。
  萹蓄 :ミチヤナギの全草。
  辣蓼 :ボントクタデヤナギタデの全草・根・葉。
  火炭母:P.chinense の全草。
  朱砂七:P. cillinerve の塊根。
  兩棲蓼:P.amphibium の全草。
  鷄血七:P.amplexicaule var.sinense の根茎。
  醬頭:P.aubertii の塊根。
  紅酸杆:ヒメツルソバの全草。
  蠶繭草:シロバナサクラタデの全草。
  大馬蓼:オオイヌタデの全草。
  赤脛散:P.runcinatum var. sinense の根・全草。
  箭葉蓼:アキノウナギツカミの全草。
  蠍子七:ムカゴトラノオ・P. sphaerostachyumの根茎
  猪蓼子草:P.nodosum・P.campanulatum の全草・根
など。
 『大戴礼』「夏小正」五月に、「灌たる藍蓼(らんれう。アイとタデ、あるいは二字でアイ)を啓(わか)つ。〔啓(ひら)くとは、別(わか)つなり。陶して之を疏するなり。灌とは聚(あつ)まり生ずる者なり。時を記すなり。〕」と。
 『礼記』「内則(だいそく)に、豚肉・鶏肉・魚・鼈(すっぽん)などを煮るときに「蓼を実(みた)す」が、犬・兔の肉の羹(あつもの)を作る場合には、コメの粉の餡かけにして蓼をくわえない、とある。

   しのゝめや雲見えなくに蓼の雨 (蕪村,1716-1783)
   砂川や或は蓼を流れ越す 
(同)
   甲斐がねや穂蓼の上を塩車 
(同)
 
 播州赤穂は、古くからベニタデの名産地。その地名は、「特産の赤い穂の蓼に由来する」(『角川 日本地名大辞典』)。

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